-金木犀-

 

十月の少し寒い朝に
辛いと愚痴をこぼしてたら
「目を覚ませ」と優しく吹いてきた
金木犀の花の香り

もう家を出て結構たつのに
まだ香るその香りは
秋が降り出していることを
逸早く教えてくれる

花びらの一つ一つが小さいながらも
元気よく咲き乱れて心にも花が咲きそうで

十月の最後の寒い朝
香りがしないのに気がついて
目を覚まして外に顔を出すと
オレンジ色の地面で迎えてくれた

なんて美しい最期なんだろう
また来年僕を起こしておくれよ